先日、グランドセイコー アフターサービスの要である「グランドセイコーサービススタジオ」を見学する機会に恵まれました。

このグランドセイコーサービススタジオは、全てのセイコー社製ウォッチのアフターサービスを行うセイコータイムラボ㈱内に設立された、名称通りグランドセイコー専門のメンテナンス工房です。
アフターサービスのさらなる向上を追求し、2019年に現在の形となりました。

※基本的に工房内その他は撮影禁止のため、画像はセイコー ウォッチおよびセイコータイムラボが公表しているものを使用しています。

卓越した技能を持つ修理技術者集団

グランドセイコーサービススタジオには、技能五輪全国大会で受賞歴のある方、熟練のマイスターが多く在籍しています。
中でも、2013年に時計メーカーのアフターサービス部門では初となる「卓越した技能者（現代の名工）」に選定された笹川 修氏(右)は、昨年、黄綬褒章も受賞しています。

こちらでは、基本的にムーブメントの分解・組立は“ワンマン ワンエンジン”方式で行われ、ひとつの時計に対し、最初から最後までひとりの技術者が携わります。
分担作業に比べ、より責任を伴うこととなるでしょうが、それが技術力向上にも寄与しているのだと思います。

また、徹底した粉塵対策のため、工房入り口にエアシャワーが設けられ、さらに室内は室外に比べ高圧になるよう管理されているとのことです。

輝きを再び

使用によって傷ついた時計に輝きを取り戻す、ケース(ブレスレット)研磨。
グランドセイコーサービススタジオにおけるハイライトが、「レーザーレストア」です。

約2年の試験期間を経て完成したこのリペア技術は、これまで深すぎて研磨では消せなかった打痕傷などを、「レーザーによる肉盛り」 ➡ 「研磨」の工程を踏むことで、ケースのフォルムを変えずに修復することができます。
接いだ部材との境界線を極限まで見えないようにするには、まったく同じ(配合の)部材が必用となりますが、現在それらすべてを手に入れることで、グランドセイコーが展開するあらゆるケース素材に対応しています。
※セラミックは除く

水中での防水テスト

修理完了後の防水テストは、「空圧式防水検査（エアリーク）」と、実際の水中での防水試験「水中加圧防水検査」が順に行われます。
またこれは、“ケース内にムーブメントを実装した状態”で実施されます。
さらに加圧試験後、60℃弱に暖め、時計のガラスに常温の水滴をたらし、ガラス内側の曇りの有無で微細な水分の侵入が無いかを確認します。

電池交換に2種類のコースが存在

クオーツの最高峰は、アフターサービスも尋常ではありません。
グランドセイコーのクオーツムーブメントは、備えられた「緩急スイッチ」で精度の微調整を行うことができますが、さらに電池交換の際「バッテリープラスサービス」をお選びいただけば、「年差精度書込機(左)」により、ムーブメントのIC回路に低温・常温・高温の3ポイントで、年差±5秒～10秒のデータを書き込み、水晶振動子の温度特性を補正し、工場出荷時と同等レベルに復元します。
また、これには1年間の精度保証が付きます。

かつて私は、岩手(雫石高級時計工房)と長野(信州 時の匠工房)の製造現場も見学させていただきましたが、アフターサービス部門でも、それと変わらない匠の技や情熱、そして信頼性を感じるとこができました。
真のマニュファクチュールは、設計製造とアフターサービスが込みであることが真実。
ぜひグランドセイコーをお試しください。

■ プリベ石川はグランドセイコーマスターショップです。