去る３月16日(土)に松山店で開催されました、グランドセイコー分解組立実演イベントに参加して参りました。
当日は多くのファンの方がご来場くださり、盛況のうちに終了したしました。

今回、組立実演をいただいたのは、セイコーエプソン社所属の「現代の匠」・小松郁清氏。
使用した時計は、写真壁面にもあります人気NO.1モデル「SBGA211」、スプリングドライブ キャリバー「9R65」です。

組立てに向け、時計とムーブメントを解体中の小松氏。
素晴らしい手さばきと正確さ。
どらもピカピカに磨かれたパーツばかりですので、ピンセットで擦ってもダメ、滑らせてもダメ、目的のパーツやネジを目的の箇所に一発で納める正確さが必要とされます。
また、正確さと同等にスピードも重要だそうです。

キャリバー「9R65」の解体模型。
部品総点数は276点。米粒よりも遥かに小さいパーツがいくつも存在します。
やはり特徴的なのはコイルやIC基板の存在。もちろん「スプリングドライブ」=「ゼンマイ駆動」ですので、バッテリーは入りません。

スプリングドライブはおそらく一般的に「精度の良い機械式を求めた」と認識されていると思いますが、もう一つのアプローチは「モーターにはないゼンマイの高トルクを求めた」というものです。
どちらから見ても大変に優れた機構です。

巻上げ機構の主要パーツ「マジックレバー」。
省スペースでシンプル、かつ両方向巻上を可能にするこの部品は、コイル等でスペースを取られてしまうスプリングドライブの設計上欠かせません。
1959年、セイコーにより考案されました。
ちなみにメカニカル キャリバー「9S」系は、やや複雑な巻上機構を備えます。

普段取り扱っているスプリングドライブですが、実際の組立とお話により、また新たな発見をすることが出来ました。
ご来場の皆様、そして小松様、この度は誠に有難うございました。